ドイツ:オフィスチェアで走る「オフィスチェアレース」

オフィスを飛び出したユニークなチェアレース

ドイツのヘッセン州・小さな田舎町で不定期開催される、オフィスチェアに人がまたがり、坂道を爆走するというユニークなチェアレースをご存知ですか?
オフィスチェアといえば、そう、あのオフィスで使われている、あのオフィスチェアです。

もちろんそのままの姿で走ったところで、何の話題にもなりませんが、このレースの面白さは、モーターさえ使わなければ改造してスピード機能をアップできる点にあります。
また、スピードだけではなく、素晴らしいデザインには賞も贈られますので、参加者は知恵と工夫、創造力を駆使してレースで走るチェアを製作しています。

開催場所はドイツ南西部・オーデンヴァルト市の中央に位置するバート・ケーニヒと呼ばれる鉱泉保養地です。
都市から離れた小さな町ながら、このオフィスチェアレースを見るために1000人近い観光客が訪れます。

もとはスイスで始まったお祭り

オフィスチェアレースの始まりは、実はドイツではなく、お隣の国スイス発祥のお祭りです。
ドイツとの国境からも近いルーニンゲンという町で開催されたイベントを、ドイツが真似たのが始まりと言われています。
よってスイスバージョンのレースの方が歴史は古く、コースも充実しています。

300mあるコースには、坂道はもちろん、ジャンプ台やスラロームなどの難関もある本格的なレース会場が設けられています。
スイスのルールでは個人戦で参戦する場合は改造不可、団体戦のみ改造できるようになっており、個人戦・団体戦それぞれ面白みのある楽しいレースです。
迫力があり、なおかつコスチュームで楽しめるのは団体戦で、応援する方も力が入ります。

ドイツのオフィスチェアレースは、スイスの後で真似て作られていますので、それほど歴史はなく、数えるほどしか開催されていません。
ですがドイツのオフィスチェアレースも徐々に知名度を上げ、参加者や見学者が年々増えつつあります。
子どもから大人まで楽しめるB級スポーツとして、愛されるイベントに成長しているのでしょう。

オフィスチェアレースのルール

当然ながら、オフィスチェアを使うことが大前提となっています。
また、改造する際モーターの使用はNGですが、あとは自由なスタイルですので、スケートのローラーを使ったり、ハンドルを付けるなど、スピードと面白さを追求することが求められています。
また、デザインに凝ることもルールに含まれていますので、見る人を楽しませるような工夫やデザインが必要です。

なお、旅行者でも観戦、そしてレースに参加することも可能です。
レースに使うオフィスチェア、ヘルメットを用意し、膝当てなどの安全対策もしっかりしてから、レースに挑みましょう。