ブルガリア:クケリ

ブルガリア:クケリの特徴とは?

東欧に位置するブルガリアの冬は厳しく、雪で真っ白に覆われてしまいます。
その季節に行われるのがクケリというお祭りです。
クケリは、ヤギやヒツジの毛皮をなめしたものを身に着けて、顔には仮面をした男性たちが街中を練り歩くというものです。

腰にはいくつものベルを着けます。
ベルは大きなものですので、歩くたびに大きな音が鳴ります。
これは、大きな音を出すと共に、恐ろしい恰好をすることによって悪霊を追い払うという目的のあるお祭りです。

クケリはブルガリアの国内のいろいろなところで行われます。
その中でも特に有名なのが、この国の首都であるソフィア市のすぐ隣にあるペルニックという都市で行われるイベントです。
ここでは国際的なフェスティバルとして実施され、「スルヴァ」という名前で呼ばれます。

このフェスティバルは、ブルガリアの伝統的な習慣だけでなく、世界各国の文化が紹介されます。
各国から人が集まって、伝統衣装を身に着けてその文化に根付いた踊りや音楽を披露するといったイベントが開催されるのです。
こうした国際色豊かな活動を見るために、地元の人だけでなく観光客も多く集まります。

それだけでなく、遊び心のある祭りとしても人気があります。
参加者はめいめい好きな仮装をして、街中を練り歩くのです。
警察官や看護師、教授などの恰好をしてたくさんの人が集まっている様子はユニークで、とてもにぎやかな雰囲気となります。
子どもたちにとっても楽しいイベントで、親と一緒に準備をした羽根飾りなどを付けて行列に参加しています。

ブルガリア:クケリの由来について

クケリは上で述べたように、悪霊を追い払う目的で始まったお祭りです。
これは、ブルガリアの先住民であるトラキア人が始めたものとされています。
トラキア人が祀っていた神に、ディオニュソスという神がいてブドウやワインの神として崇拝されていました。
冬が続く中にあって、この神を祀ることによって春の訪れを祈願したのが始まりです。

ぶどうやワインはこの地の人にとって豊穣の象徴でもありますので、産出的な季節を待つ気持ちを祭りにして表したというわけです。
同じような祭りや行事はブルガリアだけでなく、周辺の国々でも見られるものです。

ブルガリア:クケリのこれまでの歴史とは?

クケリは長い歴史の中で連綿と続いてきたものです。
そのため、地方によってどんな形で行われるかは多少の違いがあり、それぞれに異なる特色が付け加えられてきました。
最も知名度の高いのは上記のスルヴァですが、もともとは「スルヴァクニッツァ」という木の枝を使って家族を叩いて、悪霊を退散したという行事から来ています。
その行事とクケリがミックスされて、特色が異なる祭りとして発展したわけです。