イギリス:傘をささない

イギリス人が傘をささない理由とは?

「イギリス人は傘をささない」と聞いたことはありませんか?
霧の都ロンドンと言われるほど霧が多いのですが、イギリスでは細かい霧が空中に舞うような雨とも霧とも言えないような霧雨がよく降ります。
空からパラパラと落ちてくる雨ではないため、傘をさしてもあまり意味がないというワケです。

結果、イギリス人たちはこうした霧雨が振り出しても傘をさすこともなく、フードをサッとかぶり、特に気にするそぶりもなくふつうに立ち去ります。
イギリスでフード付き、またはウォータープルーフの上着を着ている人が多いのは、こうした気候のためと考えられます。

イギリスの気候

イギリスでは強い風が吹く日も多く、雨が降って傘をさしても四方八方から雨に振られ、傘があまり意味をなさないと言われています。
傘でカバーしようにも、風が強すぎて前後左右斜め、あらゆる角度から雨が降りかかってきてしまうからです。
また、強風に煽られて傘が飛ばされたり、裏返ってかえって危険になることもあるため、結局傘を持つことが敬遠されてしまうというのがイギリスの現状でしょう。

イギリスの気候は日本と違い、1日のうちでもコロコロと変化します。
「1日に四季がある」と言われるほど変わりやすく、朝曇り、昼に雨のち豪雨、夕方には強い日差しが照りだすというように、すべて違う天気ということも日常茶飯事です。
そんなイギリスで雨予報の度に傘を持ち歩くとしたら、毎日鞄に入れておかなければいけません。
結果として、傘には頼らないという習慣がついたと考えられます。

コートで雨をしのぐ

傘を使わないなら、どのように雨をしのぐのでしょうか。
イギリス紳士はコートを着ているイメージがありますが、雨風をしのぐために傘よりもコートに依存する文化が普及しています。
特に男性は、傘を持つことが男らしくないと考える人が多く、傘をささない傾向があるためです。
傘は女性が持つものという保守的な考えと、傘を利用しにくい気候条件により、コート文化がイギリスに広く普及し発展してきたと言えるでしょう。

イギリスのブランドと言えば「バーバリー」が有名ですが、元は軍用のコートとして開発されたもので、防水性にたいへん優れています。
他にもゴム引きの防水布素材の「マッキントッシュ」やオイルコーティング加工で知られる「バブアー」があります。

イギリスでは、こうした防水性を重視したコートが発展してきましたが、近年ではコスパ重視で機能性に優れた防水性のあるウエアを好む人が増加しているようです。
さらに、雨風に強いタイプのゴルフ傘の登場、急な雨にも対応可能な折りたたみ傘の増加などの理由により、傘の使用率もアップしています。