インド:カースト制度

カースト制度は社会的身分制度

学校でインドのカースト制度を学んで知っているという方がほとんどでしょう。
ですが内容について理解しているという方は、どれくらいいるでしょうか?
実は、現在のカースト制度は古くからの制度とは異なり、少しずつ意味合いが変わりつつあります。

カースト制度はインド独自に生み出した社会的身分制度を意味する言葉で、ヴァルナやジャーティーという名を現地では使います。
紀元前1500年頃とカースト制度の歴史は古く、アーリヤ人がインドに移り住む際に、上位層に3つのヴァルナを制定して、下位層のヴァルナに先住民のドラヴィダ人をおいたことが始まりです。

カースト制度・ヴァルナの種類

ヴァルナの最高位を「バラモン」と呼び、宗教的な支配者階級が属する層です。
ヒンドゥー教、バラモン教の司祭もこのバラモンで、その一族は呪術的な力があるとされます。
大臣や裁判官といった知識階級という位置づけで、ヴァルナの最高位に君臨していたバラモンの人々は、権利と利権を手放したくないために、自分たちに都合のよい規制を数多く制定しています。

ヴァルナで2番目の高位にあるのが、権力を持つ者という意味がある「クシャトリア」という種族です。
こちらは貴族・武士階級が属する階級で、政治や軍事において権力があり、バラモンの種族とともに支配階級に君臨する者です。

上位カースト制度のラスト、市民とも呼ばれるのがヴァルナの第3位「ヴァイシャ」という種族になります。
本来、ヴァイシャは手工業、農業、牧畜などを生業とする庶民的な存在です。
ヴァイシャが一生懸命生産した品々はクシャトリアに吸い上げられる形で収める仕組みでしたが、後に商いをするヴァイシャが増えてくると、そうした仕事は下位カーストのシュードラにシフトしていきます。

労働者とも呼ばれるヴァルナの一番下の層にあたるのが、「シュードラ」です。
もとは奴隷として扱われていた階級で、バラモン教を教わることもできなかったと言います。
ですが家族も財産もあり、ヴァイシャ寄りのシュードラも現れます。
一方で、シュードラよりもさらに下の階級外の存在も現れ、差別が生まれるようになったのです。

現在のカースト制度

かつてのカースト制度に比べると、現在はその名残はほとんどありません。
階級外であっても、裕福な豪邸に暮らし、生活に困らず生活をしている人もいます。
もちろん差別が完全にないとは言えませんし、家がなく物乞いをして暮らす人々も多いですが、カースト制度に縛られずに出世することも可能です。

カースト制度では親の仕事を子も受け継ぐ慣習があるため、好きな仕事に就くことはできません。
ですがIT関連なら新しい仕事としてカーストに関係なく就くことができ、インドでの人気の職業となっています。