韓国:ペベク

独自の風習

冠婚葬祭に関しては、各国色々な風習があります。
「ペベク」という言葉はおそらく、大半の方にとって馴染みが薄いと思います。

これは韓国独自の風習で、親族のみが集まり、新しく家族になる新郎新婦の二人が親族に挨拶をするという婚礼儀式です。
式場とは異なる部屋で行われるのが通常で、基本的には親族のみで行われます。
親族以外の人でペベクの見学を希望する人が、披露宴中にペベクが行われる部屋に案内されることもあります。

一般的なペベク

とある一組の新郎新婦を、例にあげてみましょう。
ペベクが行われる部屋には、通常屏風が立てられており、その前にテーブルが置かれています。
その上には栗やナツメ、乾物の盛り合わせなどの食べ物が並べられます。

これらは、「ペベク」を行う時に親族に捧げる食べ物で、この膳のことをペベクサンと呼びます。
ペベクサンには、夫婦円満の象徴であるとされる雁(がん)の木製の置物が置かれるケースが多いです。

「ペベク」の伝統衣装は、色鮮やかでゴージャスなものが一般的です。
新郎は官服を着て、帽子をかぶるサモグァンデというスタイルです。
新婦は袖の長いウォンサムという礼服に、チョクトゥリという冠をかぶります。

ペベクの流れ

最初に、新郎新婦が、新郎の両親に対して、クンジョルという深いお辞儀をします。
原則的にはクンジョルを4回します。
略式的に行う場合は、クンジョルを数回省略して、パンジョルという90度のお辞儀をして「ペベク」が始まります。

その後に、新婦が持つ杯に新郎がお酒を注ぎ、それを舅と姑が飲み、ペベクサンを食べます。
続いて、新郎の両親が、新郎新婦に対して祝福の言葉を贈ります。
終わると、新婦の手を覆っていた白い大きな布を新郎新婦が広げて持ち、その布に向かって舅と姑が栗とナツメを投げ、それを新郎新婦がつかまえます。

これは子宝に恵まれることを祈願して行われる儀式で、栗が女の子、ナツメが男の子を表していて、つかまえた数だけの子宝に恵まれると言われています。
そして、新郎の両親は、チョルカッと呼ばれるお金の入った白い封筒をテーブルの上に置き、挨拶は終了となります。

このお金は新婚旅行のお小遣いとなります。
その後、新郎の親族に対して同様に挨拶、お酒を飲み、封筒のお金を受け取ります。
元来は、新郎の親族のみのものでしたが、最近では新婦の親族におこなうこともあります。
そして、親族への挨拶が全て終わると、次に新郎新婦二人のための儀式が始まります。

まず、注ぎ合ったお酒を腕と腕を回し合いながら飲み、その後、新婦が口にくわえたナツメを二人で食べます。
因みに、ナツメの種が口に入った方が家庭で主導権を握れるそうです。
そして最後に、新郎が新婦を背負い、部屋を一周して「ペベク」は終了となります。