中国:ナオ・ドンファン

性教育の役割も担う

国が違っても、結婚式はおめでたいものですね。
中国には、「閙洞房(ナオ・ドンファン)」という風習があります。
結婚式や披露宴が終わってから、新婚夫婦が初夜を迎える新居に親しいものが押し掛け、そして二人のなれそめ等を聞いてからかうといった風習です。

「閙洞房」は文字通りに解釈すると、「新婚夫婦の部屋を騒がせる」という意味になります。
元々は、新婚夫婦の住む新居の邪気を払うということから始まりました。
又、若者に対しての性教育の役割も果たしていたと言われています。

閙洞房(ナオ・ドンファン)の内容

当初は、新婚夫婦のなれそめを聞いたり、相手の頬にキスをさせたり、プロポーズを再演させるといった程度のものでした。
それが、現在では、悪友たちによる「押し掛けバカ騒ぎ」のような状態になってきています。

新婚夫婦に無理な事を言って困らせたり、恥ずかしいポーズをとらせたりします。
エスカレートすると、布団の中に蛙を放り込んでおいたり、真夜中に外で突如爆竹を鳴らしてはやし立てたり、屋根に登って瓦を剥いで上から水をぶちまけるという本当に迷惑なものになります。
新婚夫婦には受難のひと時ですが、親しい人や、今回の結婚式でお世話になった人々でもあり、これからも長くつきあう友人なので、ある程度は耐えるようにします。

やりすぎの例

悪ふざけがエスカレートしたものを、例に挙げてみましょう。
愛情の証しとして新婦のハイヒールにお酒を注ぎ、それを新郎が連続三杯飲むという「ハイヒール酒」というのがあります。
又、新郎が今夜の「新婦のパンティの色を当てる」というものがあり、当たったらご褒美として新婦がチラリとパンティを見せ、外れたら新郎には罰ゲームが待っています。

「寝室の鍵探し」というのもあります。
寝室の鍵を誰か友人が隠し持ったり、室内のどこかに隠したりします。
それを新郎が探し、うまく探せないとその都度新婦はお客に「チュッ」のサービスをしなくてはいけないため、鍵を探し当てるまでやります。

伴娘、伴郎

友人悪友を迎え、いろいろさせられるのは新郎新婦だけではありません。
介添え役の若い男女も巻き添えになります。
中国では、伴娘、伴郎と呼ばれる介添え役がつきます。
介添え役は若い未婚の男女が担当しますが、彼等も「閙洞房」に巻き込まれます。

新婚夫婦は、「ここを乗り切る事が出来れば」という思いですが、介添え役、特に若い女性は、「何のためにこんな嫌な思いをしなければならないのか」という気持ちになります。
このような状況では、誰も介添え役などしたくありません。
そのため、地方によっては「介添え役引き受けます」というビジネスまで生まれています