岸和田だんじり祭り

参加人数の減少

「岸和田だんじり祭り」とは、毎年9月に岸和田市北西部、岸和田城下およびその周辺(旧市と呼ばれる地域)で行われる祭りの事を指します。
日程は、「試験曳(ひ)き」が 9月第1日曜日で、本祭が敬老の日の直前の土・日曜日に行われます。

かつては年に3回祭礼が行われていましたが、旧暦8月の祭礼のみとなりました。
その理由として、お祭りに参加する観客動員数が減ることや、社会人や大学生、高校生などの曳手(ひきて)が不足して曳行(えいこう)に支障が出ることを踏まえ、2006年から敬老の日(9月第3月曜日)の直前の土・日曜日に日程が変更されました。
なお、日程の変更は新暦導入を除き、これが初めてでした。

祭りの特徴

1日目(宵宮)の朝6時、サイレンを合図に「曳き出し」で祭りの幕を開け、各町の「だんじり」が大阪臨海線・岸和田港交差点まで一斉に出発します。

比較的道幅が狭い紀州街道には、年番本部前の交差点や、堺口門跡・内町門跡の枡形(ますがた)で行われる「やりまわし」が行われます。
テレビ番組等でよく報道される、「だんじり」が家屋を破壊するといったシーンは、ほとんどがこれらの箇所で発生しています。
また、沿道のほとんどの建物は「だんじり保険」という保険に加入していて、だんじりによる家屋破壊に備えています。

岸和田のだんじり

「だんじり」とは、祭りで曳いたり、担いだりする「山車(だし)」の西日本での呼称です。
岸和田だんじり祭りで曳行される「だんじり」は総欅(けやき)造りで、前方に2本の綱をつけ、500人程度の曳手によって地元の町を走り抜けます。
「だんじり」には、囃子(はやし)を奏でる大小の和太鼓と鉦(かね)が備え付けられ、そこに篠笛(しのぶえ)が加わります。

ちなみに「欅には女神が宿る」という理由から、子供を除く女性が「だんじり」に乗ることが出来ません。
成人女性も曳手として参加することは可能ですが、早い段階で男性をサポートする立場に回る人が圧倒的に多いのが現状です。

かつての岸和田城下において、独自の進化を遂げた岸和田型の「だんじり」を、「下(しも)だんじり」と呼びます。
以前の形態を残した各種「だんじり」を、「上(かみ)だんじり」と呼びます。

「下だんじり」は美しいシルエットと、極めて細かい彫刻で人気を得ています。
岸和田市、和泉市、忠岡町、貝塚市、熊取町、泉佐野市、田尻町で曳行される「だんじり」は、全て「下だんじり」となっています。

やりまわし

「やりまわし」とは「下だんじり」の豪快な特徴です。
曳き綱の付け根を持つ綱元が速度を操縦し、屋根上の大工方(だいくがた)が指示を出し、台木後方に挿し込まれた後梃子(うしろてこ)を外側へ振って行います。

その際、前内輪の前へ前梃子(まえてこ)を当て、様々な曲率に合わせた微調整をし、「だんじり」の平側に乗車する「タカリ」・「セミ」と呼ばれる役が細かなコントロールをしながら、ブレーキ担当者がブレーキのコントロールを行います。
前梃子や後梃子を担当するものは、細心の注意を払う必要がある危険な役割であるため、禁酒して「だんじり」に臨む者も多いです。