お盆

祈願と供養

MOK_oketohisyaku-thumb-815xauto-13583日本には昔から年に二回(盆と正月)ご先祖様をお迎えする慣習があります。
(お彼岸はご先祖のお墓にお参りに行く慣習ですから、お迎えする慣習とは異なります)
正月はお迎えしたご先祖様とともに、一族の幸を神仏に祈願します。
お盆はご先祖様を主客としてお迎えし、ご供養とおもてなしをします。

「祈願(願い)は神仏に向けられ、供養(礼)はご先祖様へ向けられる」のでは人間だけがいいとこ取りで、神仏のお立場が無い様に思えますが、真意はそうではありません。
日本人にとって神仏は、人間に対して幸不幸や、褒や罰を与える存在ではなく、人間の行為を(愚かではあるが素晴らしい)見守ってくださる存在だからなのです。

お盆は祭り、盆踊り

盆踊りは念仏踊りが盆の習慣と結びついたものです。
日本人は神話時代からずっと踊り大好きな民族ですから、お迎えした祖先とにぎやかしく楽しく過ごす行事として全国に広まりました。

江戸時代には盆の期間中全て、夜を徹して踊り明かす地方もありました。
日本三大盆踊り(阿波踊り〈徳島県〉・郡上八幡盆踊り〈岐阜県〉・西馬音内盆踊り〈秋田県〉)が全国区になったのも江戸時代です。

戦後の高度成長期、都会に人が集まり、核家族や超大型団地、郊外のニュータウンなどの言葉に象徴される時代が長く続きました。
こんな時代に呼応して、盆踊りは町の振興のための手軽な夏の行事として広まりました

お盆休み

お盆休みが定着した理由は、藪入り(嫁いだ娘が実家に帰って休息をとる習慣)をお盆の季節に重ねた先人の知恵にあると言われています。
日本でのお盆の歴史は古く、『日本書紀』によると、推古天皇時代にはすでに、お盆は夏ということが確立されていました。

お盆の期間は鬼たちも仕事を休むと言いますから、誰でもお盆だけは堂々と且つゆっくりと休めるということです。
しかし最近は、時代の流れとともに、お盆休みがない職業が増えたり、休みはあっても昔のように親戚一同が集まる家庭も少なくなったりで、お盆の形が変わりつつあります。
形は変えても、お盆本来の、「ご先祖様から小さな子供達まで一同に会する」という日本人らしさは、いつまでも継承されてほしいものです。