スペイン:トマティーナ

スペインの収穫祭

ELF85_IMG_0836-thumb-815xauto-18188トマティーナとは、スペインバレンシア州、ブニョールの収穫祭です。
毎年8月の最終水曜日に行われます。
”La Tomatina”と書き、日本語訳は「トマト祭り」、となり、住民が熟したトマトを投げてぶつけあう「けんか祭り」のようなものです。

近年では住民だけでなく祭りを目的に海外からの観光客が来るほどに規模が大きくなっています。
2007年のブニョール人口が9720人に対して、2008年のトマティーナ参加者は約4万人となったそうです。

明確ではありませんが起源には諸説あり、「若者が喧嘩になった時にトマトを投げた」、「パレード中にトマトが投げられた」、「町政に不満の住民が、町会議員にトマトを投げつけた」というものが有力です。
「こんなに真っ赤でも死なないぞ」というメッセージを込めたと言う説もあります。

祭りの順序

前夜祭:街はイルミネーションで飾られ、屋台や移動遊園地が並び、酒を楽しみながらダンスをしたりして盛り上がるという習わしです。
トマトをぶつけられたら困るものや家の壁にビニールシートを掛ける準備をし、その準備資金は市から補助金が出るそうです。

パロ・ハボン:「石鹸棒」という意味で、石鹸を塗った棒の先端に生ハムを括り付け、大勢で生ハムを目指してよじ登ります。
石鹸で登りづらいうえに周囲から放水などの障害を受けつつも生ハムを獲得した者はひとときの英雄となります。

トマト投げの開始:パロ・ハボンが終わる前にトマトを投げてはいけないと言う決まりがあります。
役場の号砲を合図に「トマティーナ」が正式に開始されます。

トマトを積んだトラックたちが広場を走り、市の職員がトラックからトマトを放出し、人々がそれを拾ってぶつけ合います。
大いに沸き立った喧噪の中ですのでトラックに轢かれないように気を付けなければいけません。

トマト投げの終了:開始の号砲から1時間後、終了の号砲が鳴る事で終了となります。
散水車が用意され、街中のトマトを洗い流します。
仮設シャワーを浴びたり、善意の住民によるホースでの散水で体を洗ったりします。
数時間後には街中のトマトは洗い流され祭りは完全に終了します。

トマティーナの歴史

毎年同じ日に住民が各自トマトを持ち寄って投げ合っていたのが初期のトマティーナとされており、ブニョールも「トマトの日」として定めたとされます。
しかし、年々過激になっていき、1951年にはトマティーナ禁止令が出されました。
禁止令を破り逮捕者が出ましたが、住民からの猛抗議があり、すぐに釈放となったそうです。

その翌年から開催されましたが、1957年に再び禁止令が出されます。
禁止令に対して、棺桶にトマトを敷き詰め「トマトの葬式」と称して抗議したとされています。

1959年にブニョールはトマティーナのルールを作り、開催を再開します。
そのルールは、「1つのハムから祭りをはじめる」、「祭りの前後ではトマトを投げたりしない」、というものでした。
1975年からは、それまで参加者持参のトマトを、ブニョールが準備する形になりました。
その後にもルールが追加され、「投げる際に多少トマトを握り潰して柔らかくしてから投げる」、「ガラス瓶など危険なものは持ち込まない」、「他人の衣服を破らない」というものがありますが、ほとんど守られていないのが実情のようです。