ギリシア:ロケット花火祭り

イースターに行われるギリシャの花火大会

日本でも毎年のように全国各地で花火大会が行なわれています。
世界でも花火大会をする国はいくつかありますが、ギリシャで行われている花火大会は、私たち日本人が想像する花火大会とはかなり違っています。

ギリシャでは伝統行事として約120年もの間続けられているこの花火大会は、2つの教会が相手の教会に向けロケット花火を打ち上げるのです。
打ち上げると言っても空に向かってではなく、ターゲットは相手の教会というのですから、ちょっと驚きます。
ロケット花火が飛び交う光景は、まるで戦争映画を見ているようです。

教会同士がロケット花火を打ち合う

イースターの前夜祭として、ギリシャのヴロンダトス村で行われる、ロケット花火祭りは、別名を花火の戦争といいます。
17組のチームに分かれ、計65,000発ものロケット花火を、相手の教会に向かって打ちます。
一見穏やかには感じられないこのお祭りですが、地元の人々にとっては欠かすことのできない祭りとなっています。

この花火大会で使用するロケット花火は、全て参加者が手作りします。
日本にもロケット花火はありますが、一般的な物よりもはるかに大きい70cm~80cmサイズとなります。
花火の速度は時速220km、飛距離は1,000mというのですから、かなりの迫力です。
島の住人は年間を通して祭りのためにロケット花火の製造をしています。

ロケット花火大会が始まるのは暗くなってからですが、明るいうちから相手の教会の鐘楼に標準を定めておき、開始までの間、設置されているスピーカーを使って自陣営のロケットのすばらしさを自慢し合うのが恒例となっています。

お祭りの豆知識

建物を狙うわけではありませんが、ロケット花火はどこに飛んでいくかわかりませんので、念のため教会の窓や扉は、鉄板や鉄製の網でガードされます。
更には教会周辺の家も、万一に備えて窓や扉をガードします。
狙うのは相手の教会にある鐘楼で、花火大会中より多くの金を鳴らした方が勝利します。

100年以上にも渡り続いている伝統的な花火大会ですが、使用するのが大きなロケット花火という事もあり、毎年のように怪我人が続出するといいます。
さらに教会の近くにある家はガードをしますが、ロケット花火が命中して家が壊れたり、火事になったりしても一切保障はなく、全て自己負担で修理しなければいけません。
このため教会周辺の家では、毎年かなりの修繕費用が掛かっています。
それにも関わらず、島の人たちはこのロケット花火を楽しみにしています。

花火大会の間に15分の休憩をとります。
この間は爆音も光もなくなるのですが、煙は残っていますから、見慣れた光景も幻想的に見えるところもポイントです。
ちなみに昔はロケット花火がなかったために、本物の大砲を使っていたそうです。