イギリス:チーズ転がし祭り

擦り傷覚悟のスリル満点な祭り

世界にはいろいろなお祭りがあります。
お祭りというと大人でも思わずワクワクしてしまうような、楽しい祭りをイメージしますが、チーズ転がし祭りは「世界で最も危険な祭り」とも言われています。
その名の通り急な丘の上からチーズの固まりを転がし、それを必死に追いかけるという内容はシンプルですが、丘はかなりの急斜面となっているため、チーズを転がすと、人の足ではそう簡単に追いつけません。

なんとなく想像出来ると思いますが、急斜面を人の足で駆け下りるというのは勢いがつきスピードも出ますし、何よりも不安定なため転倒したら擦り傷ではすまない事も多々あります。
傍から見るとなぜわざわざ危険な事をするのか?と思ってしまいますが、イギリスでは200年ほど前から続いている伝統的なお祭りとして知られています。

チーズ転がし祭りの歴史

200年というのははっきりとした数字ではないものの、だいたいそれくらい前から続いている伝統的なお祭りという事に変わりありません。
イギリスのコッツウォルズ、グロスターのクーパーズヒルという丘で行われます。
丘の頂上から円形のチーズを転がし、参加者はチーズを追いかけ坂をものすごい勢いで駆け下りていきます。

チーズは4kgの重さがあるため、最高時速はなんと100キロ以上になります。
人の足では到底追いつけるスピードではありませんが、参加者たちは必死に追いかけます。
ルールはチーズを追いかけ坂を下りきり、最初にゴールを超えた人が優勝となります。
スタートと同時にあちこちで転倒する人が続出しますが、それでも怪我をしない限り必死でゴールを目指します。

観客はコースの脇で見守りますが、勢い余って転んだ人が観客に飛び込んでしまう事もあります。
参加者だけでなく、見ている方もハラハラドキドキのお祭りです。
安全のためヘルメットをかぶる事を推奨していますが、かぶる人は少ないようです。
中には骨折をし動けなくなる人もいるので、救助隊を呼ぶ事も少なくありません。

日本で注目された理由

以前からニュースなどでは取り上げられた事がありますが、チーズ転がし祭りが日本でよく知られるようになったのは、バラエティ番組の世界の果てまでイッテQでしょう。
お笑い芸人の宮川大輔さんが世界中の祭りに参加するという企画で、見事2位に輝きました。
その後日本人で優勝した方もいるそうです。

チーズ転がし祭りに使われるのは、ダブルグロスターチーズという伝統的なチーズです。
坂を転がり続け一足先にゴールについたチーズは、泥だらけになっています。
優勝者には泥だらけのチーズが賞品として贈られます。
ちなみに優勝するとチーズを掲げて記念撮影ができます。